概要
Visium v2 空間的遺伝子発現解析は、全mRNAを対象とした網羅的な解析により、組織内における細胞分布や遺伝子発現パターンを空間情報とともに明らかにする技術です。FFPE組織および新鮮凍結組織の形態学的情報を、トランスクリプトーム全体のデータと統合して解析することで、組織全体の遺伝子発現を可視化し、細胞間相互作用や組織構造との関連性を解析することが可能です。
解析内容
Visium v2では、FFPEブロックより切片スライドを作製し、HE染色を行い、画像を取得します。HE染色画像を確認いただき、解析領域を選択いただきます。シーケンスライブラリー調製NovaSeq X plus (Ilumina社)もしくはDNBSEQ(MGI社)にてシークエンスを実施し、Space Rangerを用いて情報解析を実施します。解析結果はVisium空間的遺伝子発現解析の結果を可視化するLoupe Browser(10x Genomics社のウェブサイトから無償でダウンロード可能)で閲覧・追加解析いただけます。
* FFPEブロック作製、スライド作製等の一連の作業において受託対応可能。
* FFPE切片スライド、新鮮凍結切片スライド(10x Genomics社推奨スライド使用)での受付も可能です。
Visium v2専用スライドには、6.5 × 6.5mmのキャプチャーエリアが2領域搭載されており、それぞれの領域において、4,922スポットが配置されており、細胞(組織)全体の遺伝子発現情報を網羅的に解析します。1スポットあたり平均1〜10個の細胞を捕捉し、1スポットに1種類のバーコードを付与して位置情報を保ったままmRNA解析が可能です。 1スポットは直径55µmで、スポットの中央点は100µmの間隔で位置しています。(
fig.2)
特徴
【空間情報の保持】
組織内の細胞を位置情報ごとに解析でき、細胞の配置や組織構造と遺伝子発現を統合的に理解可能です。
【多様なサンプルに対応】
ヒトおよびマウス由来のサンプルに対応しており、正常組織から疾患組織まで、幅広い解析に利用できます。
【直感的なデータの可視化】
10x Genomics 社が提供する専用解析ソフトウェア Loupe Browser を用いることで、解析結果を直感的に可視化できます。
また、取得データは他のデータ解析ツールとの互換性を有しており、目的に応じたカスタマイズ解析も可能です。
【多くの研究分野での活用】
がん研究、神経科学、発生生物学、免疫学など、幅広い研究分野で活用されています。疾患メカニズムの解明や新規バイオマーカー探索など、Visium は組織レベルでの遺伝子発現解析を革新する次世代研究基盤として期待されています。
解析例
Visium v2で取得したデータは、専用ソフトウェア Space Ranger により前処理・解析され、その結果を Loupe Browser 9.0上で直感的に可視化できます。ライブラリ調製前に組織切片をH&E染色し、その画像を遺伝子発現マップと重ね合わせることで、形態学的特徴(組織構造や細胞の分布)と分子情報(遺伝子発現パターン)を統合的に比較可能です。これにより、例えば特定の細胞集団の局在や、病変部と周辺部の遺伝子発現差異を明確に捉えることができます。(
fig.3)(
fig.4)(
fig.5)
解析可能なサンプル
| アプリケーション |
Visium v2 パネル |
| サンプル |
FFPEブロック、FFPE切片スライド、新鮮凍結切片スライド |
| 動物種 |
ヒトまたはマウス |
| 解析メカニズム |
全トランスクリプトームパネルのそれぞれの標的遺伝子に対するプローブを使用して組織中の発現遺伝子を検出します。 |
納品物
• 作業報告書
• シーケンスデータ(fastq)
• 解析データ(Space Ranger解析結果) 一式