特長
- DNAチップ研究所取得の高齢健常コントロール8検体(*)をエクソームデータに混ぜて解析を行います。
高齢健常コントロールを加えて変異検出することで、日本人に特有の変異やシーケンシングエラーの可能性の高い変異を効果的に取り除くことが可能です。
* 採血時点において、過去1年の入院歴なし、大病の既往歴なしの70代日本人男性8名(現在の健康状態を保証するものではありません)
- 以下の2種類の代表的なパイプラインを使用したダブルパイプラインで解析を行います。
異なるソフトウェアで共通で検出される変異は、経験的に精度が高いことが知られており、1,000 Genomesでも実績のある方法です。 また、複数の論文で、変異検出ソフトウェアによる解析結果の違いが報告されています(*)。
・BWA + Genome Analysis Toolkit (GATK) based pipeline
・BWA (通常) / Mosaik (オプショナル) + FreeBayes (FB) based pipeline
* BWAとMosaikは、リファレンスゲノムへのアライメントを行うためのソフトウェア、GATKとFBは、変異検 出 (SNV, InDel) を行うためのソフトウェアです。
* 通常の解析では、BWAでアライメントを行った結果をもとに、GATKとFBで変異検出を行っています。Mosaikによるアライメントは、オプショナル解析となります
- エクソーム解析では1サンプルあたり数万の変異が検出されます。そこから、目的の変異の絞り込みを行うのは非常に困難であるため、タンパク質に影響を与える変異とアレル頻度情報による変異の絞り込みを行って、結果をお返しします。
- エクソーム解析はゲノムのエクソン領域のみを濃縮して解析します。
- 効率的にエクソン上の変異(Single Nucleotide Variant、Short Insertion/Deletion:SNV (SNP)/InDel) を検出します。
- 既知の変異だけではなく、未知の変異についても同定することができ、希少疾患の原因遺伝子同定に威力を発揮します。
概要
1 | サンプルのクオリティチェック |
2 | エクソン領域の濃縮 /シーケンスライブラリー調製 |
3 | シーケンス |
4 | データ解析 |
- サンプルのクオリティチェック(QC)を行います。
- サンプルゲノムDNA を超音波によりランダムに断片化し、アダプタ・インデックスを使用してライブラリーを調製します。サンプルとオリゴRNAをハイブリダイズさせ、キャプチャされた DNA だけを濃縮、増幅してライブラリーを調製します。
ライブラリー調製キット(Library Kit)は下記のものを取り扱っておりますが、ご希望のキットがありましたらご相談ください。
前処理試薬
・SureSelect Human All Exon V6(Agilent社)
・SureSelect Human All Exon V7(Agilent社)
・SureSelect Human All Exon V8(Agilent社)
ライブラリー調製試薬
・SureSelect XT HS 試薬キット(Agilent社)
- illumina社の次世代シーケンサー(NovaSeq/NextSeq等)によるシーケンス解析を行います。
- リファレンスゲノムへのアライメントと変異検出を行います。
データ解析
- 2種類の解析ソフトウェア(FreeBayes および GATK-lite)によるダブルパイプライン解析(fig.1)
- 京都大学HGVDの日本人1,208名分のアレル頻度情報等の付加
- タンパク質にインパクトを与える変異とアレル頻度情報による変異の絞り込み
- アミノ酸置換変異のタンパク質への影響予測
- gnomADのアレル頻度情報、最新COSMICなどの充実したアノテーション情報の付加
- DNAチップ研究所社取得の日本人高齢健常者のデータ (高齢健常コントロールデータ) を加えた解析
- 腫瘍サンプルの解析の場合、Strelka somatic variant callerによる腫瘍-正常ペアサンプルによる体細胞変異検出解析を行います。
高齢健常コントロールデータ
DNAチップ研究所取得の高齢健常コントロール8検体 (*1) をエクソームデータに混ぜて解析を行います。
高齢健常コントロールを加えて変異検出することで、日本人に特有の変異やシーケンシングエラーの可能性の高い変異を効果的に取り除くことが可能です。
高齢健常者のエクソーム解析もご参照ください。
*1 採血時点において、過去1年の入院歴なし、大病の既往歴なしの70代日本人男性8名
(現在の健康状態を保証するものではありません)
(
fig.2)
高齢健常コントロール2検体以上に見られるが、京都大学HGVD(1,208名の日本人のエクソームデータを収録)に見られないレア変異。日本人特有の変異の可能性もあるが、シーケンシングエラーの可能性も高いと考えられます。
(
fig.3)
実用例:ある疾患患者との変異比較