概要
表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance, SPRZ)は、分子間の相互作用をリアルタイムにノンラベルで観察できる技術です。
分子の結合の速さ、複合体の安定性、解離の速さなど、特に抗体の親和性評価やキャラクタリゼーションにおいて重要な情報を得ることができます。
使用機器(
fig.1)
Biacore
™ 8K(Cytiva社)
8本のニードルによる同時測定が可能です。
多数の検体を迅速に測定することができます。
アプリケーション
- カイネティクス解析
- スクリーニング
- 結合部位解析(エピトープビニング)
サンプル
タンパク質、ペプチド、低分子化合物 など
表面プラズモン共鳴(SPR)とは(fig.2)
SPRでは初めに一方の物質(リガンド)をセンサーチップ表面の金薄膜上に固定化し、もう一方の物質(アナライト)をセンサーチップに流します。
センサーチップにアナライト分子が結合すると、その質量に相関して反射光の屈折率が変化します。
この屈折率の継時変化をセンサーグラムとして表すことで、リガンド – アナライト間の相互作用をモニタリングすることができます。
カイネティクス解析では、センサーグラムの結合・解離曲線の形状に対して非線形最小二乗計算を行い、結合速度定数kaや解離速度定数kd、解離定数KDを算出します。
また、スクリーニングをSPRで行うことで、抗体開発の早期に結合や解離の速度に基づいた選抜が可能になります。
仕様
お客様のサンプルや測定目的に合わせ、最適な測定方法をご提案します。
- カイネティクス解析(fig.3)
シングルサイクルカイネティクスによる解析例
センサーチップ:Protein A を固定
リガンド :抗体
アナライト :抗原 5濃度添加
KD(M) | ka(1/Ms) | kd(1/s) |
9.2E-10 | 7.3E+05 | 6.7E-04 |
- スクリーニング解析(fig.4)
Kinetics Screening による解析例
センサーチップ:Protein A
リガンド :Fc融合 scFv
アナライト :抗原 1濃度添加
ka、kd を縦軸横軸にプロットしたOn-Off rate map を描くことで、
求める特性の抗体を選抜できます。