概要
Biacoreによる表面プラズモン共鳴(SPR)技術を用いてリアルタイムに生体分子の相互作用を解析できます。リアルタイムに得られる結合データは生体反応を制御するタンパク質と他の分子との相互作用の理解にお役立てください。
表面プラズモン共鳴(SPR)技術とは
相互作用をみたい物質のうち一方(リガンド)をセンサーチップの金薄膜上に固定し、センサーチップの裏側から金薄膜とガラスの境界面で全反射するように光を当てると、反射光の一部に反射強度が低下した部分(SPRシグナル)ができます。相互作用をみたい物質の他方(アナライト)をセンサーチップの表面に流しリガンドとアナライトが結合すると、固定化されているリガンド分子の質量が増加し、センサーチップ表面の溶媒の屈折率が変化します。この屈折率の変化によってSPRシグナルも変化します。(
fig.1)
Biacoreシステムは例えば(
fig.1)の①から②にシフトする量、すなわちセンサーチップ表面での質量変化と質量の時間変化を測定データとして表示します。そのデータからカイネティクス:結合速度定数 (ka) と解離速度定数 (kd) を求めることができ、2つの定数の比からアフィニティー (KD) を求めることができます。
評価可能な相互作用
- 抗原-抗体
- タンパク質ータンパク質
- ペプチドータンパク質
- 低分子化合物ータンパク質
他サンプルについてもご相談ください。
測定機器、ソフトウェア
- 測定機器:Biacore T200(Cytiva)
- ソフトウェア:Biacore T200 Software v3.0
解析データ例
抗HER2抗体であるトラスツマブの測定例(シングルサイクルカイネティクス解析法)(
fig.2)
【測定方法】
1. センサーチップに抗ヒトIgG抗体を固定化(アミンカップリング法)
2. 抗ヒトIgG抗体でトラスツマブ(リガンド)を捕捉
3. HER2タンパク質(アナライト)を段階的に添加し、各濃度における相互作用を連続検出
測定数:1回
納品物(提供データ)
- カイネティックス解析データ
- アフィニティー解析データ
-結合速度
-解離速度
-解離定数
必要サンプル量・溶媒条件
リガンド
センサーチップの金属表面に固定する分子をリガンドと呼んでいます。固定する分子の種類によってセンサーチップを選択する必要があり、固定しやすさも異なります。1測定で50µg/mL以上の濃度で、150µL以上必要です(2測定の場合、2倍になる訳ではありません)。
アナライト
流路系に添加する分子をアナライトと呼んでいます。10µM以上の濃度が必要です(低分子化合物の場合、1mM以上必要な場合があります)。
* 必要サンプル量は,試験系により異なりますので、お気軽にお問い合わせください。
* 測定用のセンサーチップやバッファーは富士フイルム和光純薬社の方でご用意いたします。