概要
米国Bionano Genomics社のSaphyr
® Systemによるオプティカルゲノムマッピング解析を行います。
従来の技術では困難であった1Mbレベルの長鎖DNAフラグメントの解析を実現しており、ゲノム中に存在する挿入・欠失・転座・逆位・重複といった大きな構造変化を検出できます。
さらに次世代シーケンサー(NGS)データと組み合わせるHybrid Scaffoldingによるゲノムアッセンブリに対応し、NGSデータのアッセンブリを染色体レベルまで改善した例もあります。
オプティカルゲノムマッピングにより、配列レベルからゲノム構造・染色体レベルまでゲノム解析の幅が広がります。
オプティカルゲノムマッピングとは
従来の制限酵素マッピングに対して、蛍光標識を指標にしたゲノムマッピング手法を指します。
Saphyr® Systemについて(fig.1)
- 1Mbを超える長鎖ゲノムDNA断片を増幅無しでダイレクトに解析
- 解析検体のゲノム構造多型を含む高精度なゲノムマップを迅速に作成可能
- Saphyr® Systemから得られるゲノムマップとNGSデータと組み合わせることで、ミスアッセンブリの検出・修復が可能になり、より精度の高いアッセンブリが可能
オプティカルゲノムマッピングのワークフロー(fig.2)
- Saphyr® Systemは、培養細胞・血液・動物組織・植物・微生物等、多様なサンプルから抽出したゲノムDNAに対応します。抽出されたゲノムDNAは、配列特異的な標識技術によって蛍光標識されます。
- Saphyr® Systemにセットされた標識済みゲノムDNAは、Saphyr Chip® のナノチャネルアレイ内で一分子単位で直鎖化・展開され、電気泳動像の撮影が繰り返されます。
- 撮影されたゲノムDNA断片上の蛍光ラベルの正確な出現パターンや間隔が画像解析され、一分子ごとに画像として記録されます。
- 上記を繰り返して得られたシグナルパターンから、解析ソフトウェアBionano Access® によるアッセンブリを経てゲノムマップが作成され、レファレンスとの比較も可能となります。
アプリケーション
長鎖ゲノムDNAフラグメントを一分子単位で直接観察できる特長を活かしたユニークなアプリケーションに対応しています。
- ゲノム構造解析(Structural Variation解析)(fig.3)
・逆位・欠失・転座・重複などの染色体上のダイナミックな構造変化を正確かつ迅速に捉えます。
・レファレンスと比較してゲノム構造解析(SV)をハプロイド別に検出することも可能です。
- ゲノムアッセンブリ(fig.4)
・Saphyr® で得たゲノムマップをNGSデータと統合させることにより、Contigの方向やギャップ領域の正確な長さ情報を含んだscafforldingを行います。
・ゲノムマップデータを組み合わせることで、ミスアッセンブリの検出・修復を行います。
・アッセンブリの改善等につながった例や、Bionano社独自のDLS(Direct Label and Stain)技術により、染色体アーム長レベルのアッセンブリが実現した例も多数あります。